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[コメント] オーバー・フェンス(2016/日)

生きものにとって求愛ダンスとは、互いに愛し合う対象であることの確認行動であり、自らの存在の意味を発信する懸命な本能の発露だ。他人の人生を壊してしまった男が、自我が壊れてしまった女の、そんな生命のあがきに無意識に救いを見出すのは当然の帰結だった。
ぽんしゅう

そして、蒼井ゆうのダンスは、またも映画も救う。

手作りの紙コップ製トウシューズでバレエを舞いオーディションで夢をかなえる『花とアリス』(04)の女子高生。プロダンサーとして斜陽産業に喘ぐ地元の復興を担う『フラガール』(06)の田舎娘。今回の地方都市の閉塞と周囲からの蔑視に「押しつぶされた女」は、起死回生への無意識の発露として鳥の求愛ダンスを踊る。

脚本の高田亮山下敦弘演出によっておそらく映画用に創作され、蒼井ゆうによって舞われる「魂の求愛行動」というアイディアが、不器用な恋愛物語としてのこの映画の魅力を支えている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)寒山拾得[*] 水那岐[*] セント[*]

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