[コメント] シング(2016/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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あまりこの手の作品を見に行こうと思わない派なので最初はノーマークでしたが、好評の声を多く聞いたので鑑賞してきちゃいました。というか正直それだけではなくて、個人的にスキマスイッチのファンなのですが、ボーカルの大橋卓弥さんが声優に関わっているということで惹かれちゃいまして。迷わず吹替版での鑑賞です。
登場キャラクターはみんな動物。同じアニメなので『ズートピア』なんかを彷彿とさせますが、どちらの作品も共通点として、キャラがどこにでもいる我々人間を象徴しているということ。本作で言えばゾウやゴリラ、ブタ、ネズミ、ハリネズミ、コアラなど、完璧なキャラクターたちではなくて、家庭の中で自由がなかったり緊張して歌えなかったり彼のために頑張るのに理解してくれなかったり親に自分の気持ちを伝えられなかったり…、登場するキャラクターにどこか共感してしまうのがアニメであるのに不思議と感情移入してしまうポイントだと思う。
その点、自分は大橋さん吹き替えだからとかではなくゴリラのキャラには不思議と感情移入してしまったし、また、控えめで緊張しいのゾウのキャラには好感が持てて応援したくなった。
一方、どうしても好感が持てないキャラクターもいて、例えばネズミは終始パフォーマンスレベルは高くても性格は底辺だし、主役であるコアラの支配人もダメ人間、もといダメコアラの象徴だと感じた。だから一度完全に地に落ちたシーンなんかは当然の報いだと思ったし、それを心配して駆けつけるみんなは本当にいい奴ばかりだけど何で優しくするんだと思った。
それでもゾウのミーナに言い放った自分自身が投影されているひどい言葉を、ミーナの歌声を聞くことによってダメな自分に打ち勝とうと思うシーンは名シーンだと思う。加えてゾウを演じたMISIAの歌声は圧巻で、ここまで声に力がある人だとは知らなかったからソウルフルな歌声に痺れさせられたシーンでもある。
歌のシーンはどれも素晴らしく、実際の曲が使われているわけだからいい歌は多いし聞いたことがある曲も多かったのも逆に楽しめたポイントでもある。60曲ほどの作品が使われたこともあり、常に音楽が流れている印象があるほど様々な曲が楽しめた。 また、吹き替えを務めた大橋卓弥やMISIAだけでなく、長澤まさみや山寺宏一、坂本真綾やトレンディーエンジェル斎藤さんまで、どれも歌が上手くプロ顔負けの鑑賞力も素晴らしかった。下手に声優慣れしてない失態をさらすようなことも歌唱シーンが多いこともあって少なく、というよりもむしろ鑑賞し終わって初めてこの人が声優を担当していたのかと気づいたほど。それほど吹替版も元の声優陣と遜色ないくらい良かったと思う。
どうしても好きになれないキャラクターもいるのに活躍してしまうというのが気に入らない部分もあるのだが、それでも十分楽しめる作品だったし、大橋さんの歌を聴けただけでも満足。でも、今度はMISIAの歌も聴いてみようと思いました。
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