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[コメント] 殺しの烙印(1967/日)

はっきり云って宍戸錠よりも南原宏治の方がずっと格好よく描かれている。そこがまたいいのだ。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 実に面白い映画なのだが、一時期の鈴木清順回顧気運でちょっと持ち上げられ過ぎたきらいはある。今やこの映画で清順が日活を解雇されたという事実でもって当時の日活首脳陣を批判する論調がもっぱらだと思うのだが、私はこの映画だけを見れば、当時理解不能だったろうと思う。むしろ『けんかえれじい』や『東京流れ者』や『野獣の青春』といった傑作群の監督をこの映画の乱調(?)ぶりだけでもって解雇したというところに問題がある。

 と云うわけで、非常に魅力溢れる映画だが、それはこの映画以前の清順らしさを程良く崩した魅力なのだ。例えば美術に木村威夫を使わず、とてもシンプルな装置とし、清順らしい空間の二重構造をあまり意識させることなく映画中映画という技法を使うところなど。或いはハードボイルドを思わせながら、実際は主人公の情けなさ、無力さを際だたせるところなど。はっきり云って宍戸錠よりも南原宏治の方がずっと格好よく描かれている。それは、スーツを来てソファに座りながら小便をすると云った部分でさえ極めて格好良いのだ。

(評価:★4)

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