[コメント] エンドレス・ポエトリー(2016/仏=チリ=日)
ホドロフスキーの朗らかな自己肯定の羅列。青年は青春の蹉跌に思い悩みつつも、実は他のほとんどの悩める人々に求められるこの世の導師だ。それが大真面目な描写であることは、この作品が青春コメディの色彩もはらみながら、実は二度ほどしかギャグと呼べる描写を含んでいないことからも知れる。母とステラ役を兼ねるフローレスの役割は意味深い。
ホドロフスキーの自信のほどはアンドレ・ブルトンへの言及あたりからも窺われる。シュルレアリスムはブルトンの他界とともに霧消していったが、あるいはそののちに主義について言及をためらわなかったのは「ホドロフスキーこそ最後のシュルレアリストだ」との自負があったからではなかろうか。このあたりも含めて彼の高慢な自信家ぶりはむしろ潔い。こういう意識が80代の彼の旺盛な自己顕示欲を刺激し、結果としてファンを楽しませる原動力となっているからだ。
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