コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 寝ても覚めても(2018/日)

一人の女性の心の綾をじっくりと、時には激しくまた冷静に照射し続ける秀作です。ラストまで一気に観客の心を惹き続ける稀有な映画になりました。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







唐田えりかさん、予告編から気になる女優で、実は見る前からそわそわしてた。小西真奈美とソン・イェジンを足して2で割ったような日本映画待望の美女の登場であります。演技はというと、うまいのかどうかわかりませんが、映っているだけで何かありそうな不思議と存在感のある女優です。

冒頭からの15分ほどはデレッとしていて、僕個人としてはちょっと引き気味だったが、男がいなくなってからラストまで、それはもうかなり映画的に息が出来なくなるほど、これはもう完全に近松の世界に舞い跳び、それはまさに情念の世界に浮遊しております。

好きなシーン。川を見下ろすベランダで二人が眺めている。男が「汚い川だなあ」、女が「きれいな川だわ」と女が抒情的な人物であることを示している。大阪で淀川がこれほどきれいに撮られているのも珍しい。

休火山のような女の心と観客が秘密を共有してしまい、心はらはらそれこそ寝ても覚めても、いやがおうにも活火山に邁進してゆくそのエクスタシーと背徳心。そのエネルギーが観客の心を惹きつける。

分かりやすい映画ですし、男でも同じ立場だったらと思わせる憎い演出で、テーマもシンプル、後々心に残る映画であろうと思います。久々に映画館を出るときの気持ちよさを感じました。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] サイモン64[*] pinkmoon[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。