[コメント] 日日是好日(2018/日)
茶室に漂う二十四節季にまで細分化された四季の空気感。その微妙なニュアンスは草木、光線、天候、掛け軸、茶菓子、衣服の丁寧で繊細な描写から立ち上がる。微細だが確実な変化。この人智を超えた自然の摂理に同化するために、凡人たちは日々ともに輪転を繰り返す。
同じことの繰り返し。それが何か特別な「意味」を生み出すのではなく、その“当然さ”のなかに「意義」を感じるということ。なるほど「日日是好日」に意味(理屈)はなく、その文字(カタチ)に託されているのは生きていることの意義(価値)なのだ。この映画から、それがしっかり伝わってくる。
地を打つ雨音。風向きや強弱。空気の硬軟。日差しの肌感。確かに以前は、もっと四季の移ろいを、言葉ではなく感覚として意識していたような気がする。近頃、めっきりそれが減った。そんな変化を、メディアの受け売りで気候変動のせいだと決めつけて嘆いてみたりもしていた。
それは私の怠慢さへの言い訳なのかもしれない。何でも理屈でかたをつけようとして、私の頭が固まってしまったのだ。「意味」ではなく「意義」を感じること。感じるためにも努力は欠かせないのだ。そして、苦になる努力はきっと努力ではないのだろう。そんなことを考えた。
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