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[コメント] ROMA/ローマ(2018/メキシコ=米)

画面に映るすべてを完璧にコントロールしなくては気が済まぬという異常な執着。『シン・ゴジラ』で顕著になった「アニメのように作る実写映画」の流れだが、キュアロンって以前からとっくにそういう人だった。
ペンクロフ

この映画の劇伴なし・あえての白黒・レイアウト主義に、オレは和田誠の『麻雀放浪記』を連想した。また、いったいこのカットどうやって撮ってんだ的なビビらせはいつもの如く健在。画面からは全然判らないんだが、これ飛行機とか流石にCG使ってるよな? CGでヒコーキ足してんだよな? 畝を走るトカゲを捕まえるとことか、こんなカットを撮ろうと思いつくこと自体が少々気違いじみている。頼むからCGだと言ってくれ。この映画は犬のウンコの形に至るまである種の美意識に貫かれビッシビシキマっており、眼福ながら少々息苦しくもある。

日本ではすっかり聞かなくなった「女中」の視点で描く70年代初頭のメキシコシティは、人種差別が背景にある雇い主との格差、都市と田舎の貧富の差、不安定な政情、人種を問わずバカで不実な男どもなどなど、たいへん興味深い世界だ。女は本当に人生いろいろあって大変なんだが、ともあれスクスク育てやガキンチョ! という普遍的なところに着地するのも見事、ちょっとケチのつけようがなく、しかしその鮮やかな手つきに小さな反感も覚えつつ。まあ見事な映画でした。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] まー[*] ぽんしゅう[*]

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