コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 象は静かに座っている(2018/中国)

極端に浅いフォーカスと灰褐色に滲む4時間に及ばんとする“朦朧”のなか、4人の「どこかへ行きたい者たち」は周囲の人間からも、風景からも切りはなされ彷徨し続ける。映画とは光りの造形物であり、作るのではなく創るものだという意志を改めて突きつける剛腕。
ぽんしゅう

作中の、人はどこへだって行けるのだから行けばいい。ただ、どこも同じだということが分かるだけだ、という言葉を聞いたときぞっとした。なんと老成した境地だろう。まるで遺言みたいではないか。作者のフー・ボーは本作を撮ったあと29歳で自ら命を絶ったのだそうだ。この作品のなかでは、まだ「どこかへ行こう」という意志を示していたはずなのに。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)袋のうさぎ[*] セント[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。