[コメント] 港々に女あり(1928/米)
あゝなんて幸福な映画だろう。特に主人公の水夫・ヴィクター・マクラグレンが中米(パナマか)のシーンでロバート・アームストロングに出会ってから、ラストまで愉快な関係性の描写に溢れている。
酒場で大暴れをした二人が、翌日警察所で目を覚ますが、マクラグレンの顔に、錨のマークが付いている、という見事な展開。警察署を出て二人で手を組み歩くバストショットのトラック移動。海に落ちた後、二人で煙草を吸う豊かな時間。
マルセイユのシーンから、ルイーズ・ブルックスが登場し、鮮烈な印象を残す。ともすれば彼女がシーンをかっさらってしまう勢いなのだが、それでもエンディングは男二人に帰着する。また、それが、酒場の床に二人で座り込んで笑う、というまるで『赤い河』のラストそっくりの演出なのだ。
もう全編に亘ってフルショットとバストショットのカッティングの洗練とそれを見る快感は比類ないレベルだ。バストショットは、寄り気味のものは殆ど無く、へそ上あたりからの、ちょっと引いたバストショットばかり、というのが、この演出の魔法の一端なのではないか。勿論、とびっきり効果的なアップカットもある。ラスト近く、アームストロングと別れることになったマクラグレンが、窓から港を見つめるアップなど。
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