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[コメント] 透明人間(2020/米=豪)

エリザベス・モス出ずっぱりの女優映画。まず彼女の自宅、海の側の断崖上に立つ豪邸がいい。夜、自宅から逃亡する導入部の緊張感!シーン途中、客観ショットでパンニングして、空の廊下を映し、また彼女に戻る。このカメラの動きは不要と思ったが、実は後で効いてくる。
ゑぎ

 つまり、本作は客観ショット主体の映画である、ということの宣言なのだ。主観ショット(モスのミタメ等)も少しはあるが、安手のホラーによくあるような、これみよがしの、長い主観ショットは使われない。上に書いた、空の廊下への客観ショットがあるからこそ、中盤の無人のキッチンを映し続けた固定の客観ショットが活きて来るし、全編、縦横無尽な客観ショットだからこその怖さが良く出ているのだ。

 プロットの整合あるいは演出の細かな点での違和感は多い。例えば、モスが、中盤で海辺の家へ一度帰宅するが、この時の車(および運転手)の登場は唐突過ぎて不自然。また、この際の透明人間スーツの作成・隠蔽等の段取りや、犬の振る舞いなんかも都合良すぎる感がある。ただし、このような瑕疵も、実は映画を見ている最中は、緊張感が勝っており、あまり気にならない。

 モスの女優映画という部分では、精神障害者扱いをされてからのルックス(不細工ぶり)が圧巻だし、逆にラストは一転して妖婦映画のような画面になる対比も見事。このラストの満足度は高い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)はしぼそがらす[*] るぱぱ[*] disjunctive[*] 袋のうさぎ

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