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[コメント] ヘルドッグス(2022/日)

これは、原田眞人らしい侠気の表現が良い方向に転んだ見応えのあるアクション映画だ。アクションシーンは予想通り悉く肉弾戦だが、そのアクションの生起のさせ方、見せ方、つまり演出が、どれも良く出来ている。
ゑぎ

 特に、関西弁のヤクザ、俵谷−田中美央を迎えたシーン、杏子がママの高級クラブを舞台とするヒットマンのシーンが面白かった。田中がなぜかカラオケで「インターナショナル」の替え歌を熱唱し続ける。あるいは、このヒットマンを拷問にかける処理場における敵の襲撃と撃退シーン。続く葬儀シーンもいい。MIYAVI北村一輝に腹を突かれ、北村は、指を詰めようとする場面から、坂口健太郎金田哲(ちょっと弱すぎ)との対決、坂口の逃亡へと畳み掛ける。そして、岡田准一とMIYAVIとの一対一での撃ち合いが本作のクライマックスだろう。MIYAVIはいい役者になった。今後、邦画でも、ますます活躍してくれることを期待する。

 他の役者でいうと、大竹しのぶ松岡茉優の役割もいい。ただし、松岡含めて、この映画、エロさが足りないとは思う。坂口の幼馴染、木竜麻生の見せ場ももっと作るべきじゃないか。彼女が終盤消えるのは勿体ない。あと、本作の酒向芳はメッチャいい役で、これは特筆すべきだろう。警察側のボスを渋く演じている。

 岡田と坂口はもともと相性が98%という設定で、ラストでもその相似性を画面でも強調する(二人を横臥させて並べるというような画面を指している)のだが、坂口が岡田を慕っている、ということ以外、その相性の良さについて私にはよく分からなかった。それに、坂口が、とんでもないサイコパスと何度も云われているのだが、そんな描写も勿論あるが、意外と理知的にも描かれているように思う。見る前は、もっとぶっ飛んだ狂気が描かれているのかと期待していたのだが。岡田と坂口の関係の見せ方については、ラストシーンがバンコクのシーンであるという、この構成はいいと思う。なかなか切ない上にカッコいい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)disjunctive[*] けにろん[*] シーチキン[*]

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