[コメント] メトロポリス 新版(1984/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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映画自体は、モノクロ世界の中での巨大なまでのセット、シャープさの溢れる造形デザインなどにより、「いつの時代においても未来を感じさせてくれる」という希有な「普遍的未来感」を描き出していると思います。「上流階級と貧困層の対立と和解」なんてオーソドックスなテーマもその普遍性において一役買っている。言わば「的確に必要な物を提示しつつ、後は観客の脳内で補完させてくれる」という、自由度の高い映画になっていると思うんです。手放しで絶賛するほど大好きな感じではないですが、少なくとも上記の理由で「時代を超えられる」作品だとは思いました。
そこにあなた、何てことするんですか。100年後でも「未来」を感じさせ得る映像に、よりにもよって被せた音楽が「ピキューンピキューン」ですよ。「ポップなテクノミュージック」ですよ。いくら何でもそりゃないだろうと。5年後に早くも「古い」って言われちゃうような真似をするなと。
効果音までは許しますよ。音は時代によって変わったりしないから。でもピキューンはないよ。せめてそこに被せるならクラシックでしょう。そのせいで結局「映画の存在が時代に負けてしまった」ように見えてしまい、何か映画全体が安っぽくなっちゃったんですよね。
往年の名歌手が久々にテレビでヒット曲を歌ったら、何か調子に乗って歌い方まで変えちゃってる時あるじゃないですか。後ノリとか駆使して。何かあれ見た時の「あぁ・・・いらんことを・・・」っていう気まずさを思い出しました。
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