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[コメント] グーニーズ(1985/米)

ベストヒットUSAの記憶からシンディ・ローパーが出ている(一緒に洞窟探検している)のかと思っていたら、どうやらそれは誤解だった。でも楽しい。そして切ない。
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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子供向けのやたら陽気な映画かと思っていたら、ところがどっこいとでも言うか、なかなかどうして奥深いところのある映画だった。

想像していた以上に現実的な設定であることにまず驚いた。家族においては中国語で会話する、つまり移民の少年とか、「なんでスペイン語が得意なんだろ」な、やはり非アングロサクソンらしき少年とか、喘息持ちの弱々しい、いかにも非力な少年とか。主となるキャラだけではなく、その他の登場人物も背景が意味ありげだ。

中でも極めつけはスロースで、彼が決して想像上の生き物等ではないという設定には驚愕する。この手の映画にああいったキャラを持ってくるのは、かなりパンクなことなのではないだろうか。最初に彼が登場してきたときに言われる台詞「怪物だ!」を考えると、それはなおさらだったりする。実際に何も知らない子どもの頃は、スロースのような人に会うとまずは素直に恐れたものなんだよなぁ。とか、そういった感覚をも思い出す。ともあれ、あの母子のあいだに何があったのかは知らないが、彼が母の名を呼ぶたびにひどく哀しくなった。おかげでいっそう彼が気になってしょうがない。裏グーニーズということで、彼を主演とした作品を撮ってもらいたいとさえ思う。

また、彼らが宝探しに行くそもそもの動機が、決して少年らしい冒険心を満足させるためのみではないということにもびっくりさせられる。そこにはもちろん「幼い頃から何度も聞かされた伝説の海賊」に対する興味もあるが、それ以上に彼らは「お金がほしい!」のだ。貧しい町を救うためには、家族を救うには友人たちと離ればなれにならないようにするには、どうしても「金になるもの」が必用なのだ。そういった意味でも彼らの真の「冒険心に満ちた冒険」は井戸の底を脱出してからなのだが、私はそこに至るまでの切実感にこそしびれた。後半のお決まりなほのぼのワクワク展開もよかったが、暗い雰囲気さえある前半の「ダークな現実」の露呈にこそ、ひどく愛おしいものを感じた。

つまり、たとえ大人になって初めて見たとしても、それはそれでよい映画なのだ。と思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)tomcot[*] sawa:38[*] Myurakz[*]

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