[コメント] 夜明けのすべて(2023/日)
映像はいたってフィルム画質。自然体を目指しているかのよう。息苦しい世の中、通常の市井の人たちでもそうなんだから、ましてや企業で煙たがられる持病を持っている人たちに見えてくるものは何だったのか、、。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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劇的な展開があるわけでもなく、静かな職場で時間をかけてようやく自分の居場所を見つける二人。それには一緒に働く人たちのごく自然な気持ちが必要なのだと知る。
彼らが慕う上司は自死した親族を持ち、人の気持ちを否が応でもヴィヴィットに感じる人たちだ。彼らの集う場面はドキュメンタリー風であり、唯一この静かで平坦なリズムにさざ波を立ているシーンでもある。
彼らは普通に職場になじみ、そして恋愛に発展することもなく、淡々とそれぞれの生活を始めてゆく。3年後、女は故郷に戻り、新たな働き場所を見つけ親を介護する人生を始める。男は、なじんだ職場にそのまま残る。
僕らが見たのはごく普通のどこにでもある小さな人生である。エンドクレジットのラストの3分間、職場の空き地でキャッチボールをする人たち、この職場を映画に撮っていた中学生の二人、自転車ヘルメットをかぶって外出する男の光景。
これが第三者から見た普通の世の中のショットである。どこにでもある何気ないシーンだが、実に深く輝かしい光をまとっているのに僕たちは気づく。
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