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[コメント] 蛇の道(2024/仏=日=ベルギー)

先生!何でリメイクしたのか分かりません!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







だって、去年、オリジナル版観たばっかりなんだもん。

元々、アタリハズレの大きい人だと思ってるんですけど、最近ハズレが多い気がしていて(笑)。なんか、その理由が今回のリメイクで分かった気がするんです。

巧くなってるwww

今まで気付かなかったんですが、この人「ヘタウマ」だったんですよ。ちなみに世界一のヘタウマ監督フェリーニは天才すぎて「ヘタウマ」なんですけどね。ピカソと一緒。でも、黒沢清の「ヘタウマ」さは、頭でっかちの印象。黒沢清は理論的に画面を構成しますが、理論が先行しすぎて無理があることがしばしばある。ま、よく言ってることですけど。だから、稚拙な(に見える)技術が「味」なわけではないので、本来的な「ヘタウマ」とは異なるんですけど、私は「強引な理論先行画面構成」がヘタな「味」に思えて好きだったんですよ。何て言うのかな、変な方向に尖ってる感じが面白かった。

例えば旧『蛇の道』では、移動する車の車内からフロントガラス越しに道を映すショットがいくつか出てきて、曲がった道か起伏の激しい坂ばかりで「真っ直ぐな道」は一切ない。これは主人公たちの「先の見えない」計画と、観客に「先の見えない」不安感を与えることを意図していると思うんですね。典型的な「頭でっかち」の「理論的な画面構成」。

ところが本作では、この描写は一切ない。端的に言うと、黒沢清、巧くなってて、画面構成が「頭でっかち」じゃなくなってる。それは薄々感じてはいたんですけどね。リメイクではっきり分かりました。

そして、巧くなった結果、「普通の映画」になってる。

実は前作『スパイの妻』でも、「ヴェネチア銀獅子賞よりも黒沢清がNHKのニーズに応えられるくらい大人に成長したことを祝福したい」と私は言ってたんですが、だんだん皆様のお口に合う作品を撮れる作家になってきたんでしょうね。そうか?

(2024.06.23 アップリンク吉祥寺にて鑑賞)

(評価:★2)

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