[コメント] 機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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日本人は第二次世界大戦後「戦争を起こす、起こしたがるのは途方もないバカ」というある意味臭いものには蓋をしろ世論で戦争の元となった右を抑えこんできた。
その結果として武力を使うものはそれがいかなる理由だろうと叩きに叩くというちょっと 柔軟性に欠ける政治思想が表街道を大手を振って今日も歩いている。 それが現在(2004年)の自衛隊派遣にも影響が垣間見れる。 はっきり言えばマスコミは自衛隊員からテロの犠牲者が出るのを今か今かと 待ち望んでいるのだ。非常に心配しているフリしながら。
日本のマスコミの偽善性にはうんざりだがこの映画って実は これにスタンスが似ている。難しい事を言って国を本気で憂いながら 実は「戦争が見たい。それも近い将来の日本を舞台に!」というもの。 その妄想ぶりはCNNまがいのニュース映像やディスプレーを沢山並べて 巨大なスクリーンにしたものに戦闘機の「シルエットの一瞬」が飽きるほどリピートされる 、というリアルな事件シミュレートにまで及んでいる。
さて、オレはコレを最初観た時非常にワクワクしたのだ、正直。そのワクワク感は小学校時代の浅間山荘事件(1972)や中学時代の ソ連のアフガン侵攻(1979)に感覚が近かった。
人々が気がついているのか知らない振りをしているのかという小さな事件が積み重なってやがて 世界が注目する大事件に発展していくそれだ。それが身近な東京で起こるという 面白さ。久々に「アニメ映画を観ている」という前提を忘れた。これは凄いことだ。
ところでこの時期にオウムの怪しさはすでに小さな事件として扱われていた。政治・宗教好きなら 実際のところ知っていたしもっと正直に声を出して言うべきだったのではないか、と今でも思う。 ここでもマスコミは宗教関連を叩くのは報道原則として危険と判断しどこの局もだんまりだった。 この「知らぬフリ」がこの映画を実写どころか現実にしようとした連中に勇気を与えてしまったのだ。 「世間は無知だ」と。この映画の最後はかっこよすぎる。事件を起こした首謀者は埋立地のごみの中のダンボールに隠れているのがリアル、それがリアルってもんだ。押井のこの表現方法の誤りが公開後の大事件に繋がった様な気がしてならない。軽く女絡めて描けばいいってもんじゃないだろう。
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