[コメント] 華岡青洲の妻(1967/日)
雷蔵の妹役、原知佐子と渡辺美佐子も科白は少ないが強烈。原の腫れ上がった乳房。渡辺の首のグリグリ。後半の渡辺と若尾の寝間での会話シーンは重要なシーンだ。渡辺が「嫁にも姑にもならなくて幸せだった」と云う場面。こゝはプロット的に重要ということもあってだろう、撮影も鬼気迫るものだ。
狭い屋内シーンが多い映画だが、複数人物の縦構図とディープフォーカスが目立つ画面造型で一貫している。終盤の乳癌手術シーンと、若尾のお産のシーンをクロスカッティングする演出にも瞠目するが、なんか、やっぱりちょっと倒錯した感懐を覚える演出ではないか。プロローグとエピローグが、咲き誇る曼荼羅花、という落ち着きの良い構成で、文芸映画としての格調の高さも感じさせるが、しかし、それ以上に、増村らしい不謹慎な面白さが横溢している映画というべきだろう。
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