[コメント] 楢山節考(1983/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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つまり、二人の(感情の)介在は、場違いの嘘だということだ。
これは、近代の価値観を前近代という舞台に放り込み、捏造した悲劇…ということになるのだと思う。
だが、抗いようのない因習に対し、感情的には激しい反発を感じながらも、最後はそれを受け入れた緒方拳の表情に、何かを感じた。
西欧化とともに近代化を促されながらも、未だに一つの(自発的)革命も成しえずに、此処まで至った日本人は、表層的にはいくら近代化していようとも、精神的には未だに近代化していない…とも言われている。何故なら、近代化とは、古い価値観を血を流しながら叩き壊すことで、またそうする中で培われる精神の変革と共に、得られるものだからだ。
表層的な近代化により自然という帰る場所を失いながらも、心は未だ古きに抗えず、強きを覆せず。
そんな近代以降の日本人の矛盾と哀しさが垣間見えたような気がした。
蛇足だが、白骨と黒鴉に覆われた姥捨て山の光景と、そこにおける二人の所作には、映画の凄まじさというものを再認識させられた。
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