[コメント] 豚と軍艦(1961/日)
やっぱり60年安保のことなんだろうな。米兵にすがりつき、パンスケからオンリーへの昇格を望む女たち。強者側の汚れ仕事から、機関銃と豚で革命を起こして負けて死ぬ男。この人の映画は全部、日本人論だよなあ。
オープニングのクレジット、出演者のひとりに「ジョン・ブルーミング」とあり、まさかと思って観ていると吉村実子を犯す底抜けに明るい3人の水兵のひとりがそれだった。
彼の名はジョン・ブルミン。オランダ人の柔道家で、ヨーロッパ柔道選手権を優勝。アントン・ヘーシンクとは同世代(ブルミンが1歳上)。講道館で修行するため1959年に来日。他の武道も学ぶ中で大山道場(のちの極真空手)に入門し、大山倍達に師事。極真空手オランダ支部を設立し、欧州の立ち技格闘技と組技格闘技の礎となった人物だ。クリス・ドールマンの師匠である。
そんな彼が若き日の大山道場修行時代、今村昌平の映画に出て米兵を演じていたとは。ひどい役回りだが、いい小遣い稼ぎになっただろう。その後の彼は欧州の格闘技界における超大物になった。1983年『楢山節考』と1997年『うなぎ』で2度、今村昌平はカンヌ国際映画祭のパルムドールを獲っている。ブルミンは、若き日に小遣い稼ぎで出演した日本の白黒映画のディレクターと、カンヌで評価された著名な映画監督が同一人物だと知っていたのだろうか? そんなことを考えていたらもう長門裕之どころではなくなってしまったよ。
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