[コメント] ナイアガラ(1953/米)
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本作は「イングリッシュ・ペイシェント」、「逆転」、「イブの総て」なんかと同じダブルヒロインで、この手の設定の場合、大抵、性格の異なるタイプが用意される。そして普通は双方に魅力があったりするものだが、本作はマリリンの一本勝ち。彼女の演じる本作のヒロインは情緒不安定で、悪女だけれど計算され尽くしては居ず、自身をコントロール仕切れてない雰囲気が常に漂う。非現実的な美貌と相まって、それが幻想的な域の存在感を醸すマリリン。対するピータースは利口で健全な精神の持ち主。モラリストで地に足を踏みしめてる感じはする。でも、ちっとも魅力が感じられずかえって野暮ったい。どうして人って不安定な人ほど魅力を発揮するのでしょう?。人目を惹く為にわざとピンクのドレスを着てみたり、不意に思い出のレコードをかけて、ぼんやり口ずさんだり、マリリンの動作の一つ一つどころか精神性に至るまで、すべて演技に見えない!。彼女が真っ白な病院のベッドで鐘楼の音でハッと目覚め、大慌てで(モンローウォークだけど)荷造りをし夫から逃げる終盤は胸が締め付けられた。ハイヒールで鐘楼の階段を駆け上がる姿の切なさたるや!。マリリン退場後は、どこか作品に漂ってたペーソスが一切消え去ってしまい、図太そうなピータースの先の見えたB級サスペンスになってしまい残念。だから真のラストよりマリリンのラストシーンの方が感傷的で印象深い。そんな二人のヒロインたちのサスペンスとは無関係に、轟々と流れ続けれる雄大なナイアガラの姿も、また胸に残る。
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