[コメント] 座頭市(1989/日)
鼻や腕が一瞬で飛び散る宿屋での殺陣。堤燈が垂れ下がる夜道での殺陣。仕込みの剣の先にロウソクを乗せて戦う殺陣。そして、クライマックスの大殺陣。限りなく座頭市の逆手斬りの醍醐味を堪能できる。
ここでネタが尽きたのか、ラストの緒形拳との戦いは妙にあっけないが、全く無言で殺しあうところに座頭市らしい非情さを感じた。緒方拳は無言で斬りかかったために、盲目の座頭市は誰と戦ったかわからない。知らずに顔見知りと斬り合う恐ろしさを何気に見せてくれた演出だった。本当にあっけないけどね・・・。
殺陣演出に文句は無いが、座頭市と張り合うボスキャラに陣内孝則&内田裕也&奥村雄大は弱すぎ。どう見積もっても3人ともチンピラクラスである。もう少し頭が回り風格のある大ボスみたいな存在が欲しかった。樋口可南子に至っては、座頭市との風呂場での濡れ場の為にだけ出てきたような存在である。
15年ぶりに劇場映画を撮った気負いか、長くてだるくなるところもある。しかし、盲目を逆手に使った「お約束」の丁半賭博シーン(シリーズ1作目と同じオチ)や三木のり平&緒形拳との心温まるやり取りが嬉しい。凝りに凝った殺陣、美しい絵の構成力、そして老いても衰えを知らない座頭市=勝新太郎の凄み&天才ぶりは十分に味わえた。
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