『ダーティ・ハリー』、『フレンチ・コネクション』。１９７１年はアメリカ映画にとっての正義や格好よさが根底から覆されたという気がしてならない。

優雅にレストランで食事をする悪党を尻目に刑事は寒さに震えながら質素な食事を摂る。ポパイの執念、その中にはやっかみもあったのではないか。車対列車の有名なチェイスシーンは、異種格闘技的な妙味も加わって、今ではもはや語り草だ。

アメリカ映画が正義について謙虚な姿勢を見せた一瞬。そして格好よさの基準が極めて等身大になった一瞬。