[コメント] 俺たちに明日はない(1967/米)
時間が止まる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ラストに辿り着くまでの長い行き詰まり感。
何かが変わるかもしれないと思ったふたり。
強盗、逃亡。いつの間にか全国指名手配。自分たちの知らない『Bonnie and Clyde』が作られていく。「国家・体制への反逆」?「英雄的犯罪者」?何だ?知らない。
何かが変わると思った。でも違う。欲しかったのはこんな変化じゃない。自分は今の自分じゃないはず、もっと何か違うはず、それを少し確認させてほしかっただけ。
ふたりの苛立ち、息苦しさが伝わってくる。中盤のノロノロとした進行がこの息苦しさにうまく加担する。観ている側まで苛々する。観ている側まで息苦しい。ボニー同様、ブランチに対して苛立つ。この行き詰まり感が効いているからこそ、ラストが活きる。
ラスト前の一瞬。ふたりが見つめ合うその瞬間、苛々するほどゆっくりと流れていた時間が止まる。
作られた『Bonnie and Clyde』から「ボニーとクライド」になった瞬間。あらゆる閉塞感から解き放たれる瞬間。ふたりも、観客も。
ふたりの顔は、安堵の表情にも見える。
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