[コメント] バックドラフト(1991/米)
ロン・ハワードの得手はやはり『コクーン』みたいな密やかさの積み重ねなんだろうと思わざるを得ない崩壊作。消防士のオトコ口説くのに「ポンプ車見せて」の件がよかったのだが、ファミリー向けゆえ大した展開もない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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職業倫理、兄弟の確執と父親、離婚とその後、怪しい市議会議員ほか、ハリウッドの脚本教室のノウハウテンコ盛りであり、どれひとつとして何も穿った処がないという悲惨。終盤のスコット・グレンの「意外な犯人」発覚は何の前振りもなく阿呆らしいレベルであるうえ、化学工場の消火活動そっちのけで対決が始まるのは、職業倫理としても疑わしく、主題をないがしろにしているのじゃないんだろうか。終盤盛り上げないといけないという制作者の強迫観念を眺めるだけのシラケた気分にさせられた。
ロン・ハワードらしさは前半にあり、マネキン救出は面白いし、黙って別れた妻の家の屋根補修しているカート・ラッセルはいい断片だし、彼の住家にする船なんか丹精に撮れている。火の廻りを読む技術にかかる消火活動の薀蓄や、ドナルド・サザーランドの「破産逃れの放火」など裏街道の告白は面白い。地道な処で適当に切り上げてくれたら、ちょっといい小品になったかも知れず、ハリウッド背負っちゃったがゆえの栄光と悲惨という感想。オヅが『風林火山』撮ったらこんなものか。
なお、ハリウッド映画史的には、炎と並んで放水をどう撮るかが肝要だと思うのだが、そこに面白味がないのもガッカリである。
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