[コメント] 風と共に散る(1956/米)
ダグラス・サーク初体験。ということもあり、迂闊なことは言えない気もするけど、これはもう、あえて今の気分で褒めちぎります。それぞれのシーンが網膜に焼きついて離れません。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
鏡、窓、ドア、階段、花、グラス、アクセサリー、そして部屋やシーンごとに様相を変える色彩が個々の宝石とするならば、カメラのパン、仰角、俯角、そして編集はそれらを自在に数珠繋ぎにする糸。その全く間然とすることのない演出振りに驚きつつも、それらが生み出すのは決して華美な表層や甘ったるい感傷ではなく、深い陰影であるトコロが素晴らしい。
この類型的な筋書きを、よくぞここまで彫りの深い映画に仕上げたもんだ。監督自身がどこか冷めた視点の持ち主なのか、映画の中の人物がどれだけ感情を爆発させても、それに引き摺られることなく、演出は常にしっかりとした独自の立ち位置を持っている。それぞれが過去に深い影を落とす屈折した人物造形も、この映画をより立体的なものにしている。欲を言えば、ローレン・バコール演じるヒロインがやや納得性に欠ける気もしたが。
ともあれ、よくあるメロメロのドラマを生粋のメロドラマに仕上げる手腕は、想像以上でした。これはもう何が何でも他の作品が観たい。全作品上映熱烈希望デス。
(2007/2/5)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (4 人) | [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。