[コメント] ションベン・ライダー(1983/日)
開始直後「お、これが有名な長回しか……たしかに凄いぞ」。終了間際「長いよ。何時まで続くんだ……」。081203
特徴である「長回し」に注目すると、あきれるほどに緻密な計算の上で撮影されたことが容易に想像できるほどに圧倒される。しかも、遠くからの超ロングショット映像が多いので、切り取られた風景も演出効果を高めている。つまり、出演者達と風景とがともに演技をしているようで、当時の時間そのままの空気すら感じられ、シーン一つ一つに強烈なノスタルジーを覚える。
とはいえ、それに感動できるのは、ストーリーが展開していく前半のみだ。ばら撒かれた伏線を回収していくはずの中盤から後半にかけては、何だか、まどろっこしいくらいに物語が停滞していく。長回しという特殊な撮影の分だけ、編集での足し引きに制限の生じるのが原因なのかもしれないし、採用された映像の取捨選択が正しいのか間違っているのかも、よくわからなくなってくる。さらには、「配給サイドの都合でブツ切れにされた」、なんて聞けば、もはや完成品ですらない。
個人的には、子供たちが歌い踊るシーンも気恥ずかしくて苦手だ。『台風クラブ』などにも同様のシーンがあるけど、こういうのも、監督とボクのセンスのズレなのかもしれない。
この作品が、監督自身のその後の進展や役者達の活躍などを前提に、監督の力量を最大限に発揮した意欲作として見るならば、見所は多いのだろうが、いかんせん、作品を楽しむ目的で見るには、出来損ないといわざるを得ない。
料理に例えるなら、ものすごく質の良い材料を各地から探し当てて集めてきたのに、肝心の料理の味付けが下手でマズイ、そんな感じ。「この素材、ウマイっすねー」なんていえるほど、ボクは美食家じゃないから1点。
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