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[コメント] エクソシスト(1973/米)

言わずもがな、ホラーの最高傑作。この作品の真意は 限りなく深い。一筋縄ではいきませんぞ。
あまでうす

原作を読んだ。リメイク版にそえられたメイキングドキュメンタリーを見た。現実のエクソシストたちについてのノンフィクションり本、「エクソシストと対話」(島村菜津著 小学館)という本を読んだ。だからなんだというと困るのだが、この作品を簡単な言葉で片付けてしまう訳にはいかなくなってしまったのだ。

この映画はとんでもないキリスト教の映画である。悪魔の存在を確個たるものと言い切っている。少女の身に起こったできごとを精神病として見るカラス神父に対し、メリン神父ははっきりと彼の考えを否定する。そして、母の死と科学知識のために「神」の存在を疑うカラスをメリンはいさめる。この「悪魔の存在の確信」と「神の存在の確信」は同一のことだ。

そして、メリンの言葉どおり、悪魔は現に少女の身体の中に存在している。悪魔はまさに"悪"の具現としてふたりに襲いかかる。メリンの病気、カラスの母、緑色のヘド、などなどの様々な形をとって。これは、誰しもが感じる現代社会にはびこる様々な矛盾、不幸、絶望の象徴だ。そして、ふたりの男は、科学でも人間の愛情でも、もちろん暴力でもなく、ただ神の力でこれを解決しようとするのだ!!

フリードキン監督はインタビューで、「この映画の結末は、見る人によって感じ方が違うだろう」と言っている。「ある人にとっては"悪の勝利"、ある人にとっては"神の救い"」と。異教徒の私にはあれがどうしてもハッピーエンドには思えない。だが、監督にとってはあれは確かに"神の救い"なのだろう。カラスの友人、ダイアー神父の台詞が、それを証明している。

「カラス、告解をしたいか?」

「汝は許された.....」

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] G31[*] 新人王赤星 カズ山さん

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