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[コメント] ダンディー少佐(1965/米)

印象的な場面の多くに河が絡んでいるが、それ以外でもたとえばフランス軍から解放した村での宴なんか実によい。最後の剣での斬り合いには銃撃戦とは別種の距離の演出を楽しめる。ジェームズ・コバーンにそれほど派手な活躍の場が与えられていないのが不満だが、よく考えると誰ひとり派手な活躍などしていないのであった。
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なんとも分かりづらい映画なのだが、それは演出やシナリオの問題というより、ペキンパーの意図を無視して大幅にカットされたことが原因なのかもしれない。二〇〇五年にリストア及びリリースされた一三六分版(これにしてもペキンパーが望んだ長さには達していないようだが)では、シーンの繋がりの悪さが解消されているところが二・三箇所ほどある。

たとえば、脚を負傷したチャールトン・ヘストンがメキシコの村に滞在するシークェンス。オリジナル一二三分版では、ヘストンの治療のシーンの直後にそこをセンタ・バーガーが訪ねるシーンが来る。そこでバーガーはヘストンの世話をしているメキシコ女が上半身をはだけているのを目撃するのだが、ここではバーガーのみならず観客も「いつの間にそんないい仲になったんだ?」と驚くだろう。だが一三六分版では、そのふたつのシーンの間にヘストンとメキシコ女の交流が描かれており、一二三分版に感じるような違和感はない。

また、終盤のアパッチ追跡シーンにもショットが足されており、いくぶんか物語を追いやすくなっている。物語の本筋と関係のないところでは、宴のシーンやコバーンとインディアンの取っ組み合いのシーンなどが引き伸ばされている点が目につく。

しかしながら、この映画の「分かりづらさ」の本質は一三六分版においてもほとんど変わりないように私には思える。それはやはりアパッチとフランス軍というふたつの敵の説話内での位置づけ方に問題があるからか。ペキンパーの構想どおりに仕上がっていたらその問題も解消されていたのだろうか。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)寒山拾得[*] 煽尼采

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