[コメント] サイモン・バーチ(1998/カナダ=米)
前略おふくろ様、あなたのにおいが、消えていきます。
愛する人の死は…ゆっくりとした空白としてやってくる。 母の香りがいろんなところから消えていくのがたまらない、そんなような台詞だったと思うが、心に残って離れない。
テレビドラマの「前略おふくろ様」の最終回あたりで、うならされた場面があった。
北国に住む母の死に際に三郎(ショーケン)は立ち会うことができない。 通夜の席でなにかゴタゴタがあり、縁側から飛び出そうとする三郎。 すると、死の直前に母親が残したサンダルの足跡が雪の上に残っている。 上から粉雪が降る。たまらなく愛おしい足跡が消えていくのをどうすることもできない、そんな名場面。
多感な時期に大切な母を亡くしたジョーにとって、その匂いが日に日に薄れていくことの哀しみがどれほどのものだったか。
湖で遊ぶ少年の夏の風景の中で、誰もが経験する感傷をごく穏やかに語ったモノローグが心に響いた。
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