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[コメント] ハムナプトラ・失われた砂漠の都(1999/米)

「古代のびっくり箱」。つまり、ひとこと、"The Mummy"。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それは『インディ・ジョーンズ』的な冒険活劇でも、『アルゴ探検隊の大冒険』的なヒロイックファンタジーでもないように思われる。そこには不可思議な未知の世界の謎を解き開いていく面白さなどはなく(すべての災厄がヒロインの軽率な行動が原因であるという確信犯的にちゃちいシナリオ)、かといって神話的な壮大な物語が見出せるわけでもない。その印象をひとことで言えば、「CGスペクタクルに「活劇」は流砂の如く呑み込まれ、「モノ」はミイラの如くからっぽに」というようなカンジ。

活劇映画が活劇映画足り得るのは、(ヒトを含めた)モノが画面の中で緩急自在に躍動するその面白さにあると思うのだけれども(*)、この映画にはそれが希薄なように思える。それは多分、やはりCGをふんだんに駆使する画面の所為ではなかろうか。印象だけで言っても、映し出されるすべてのモノがそれこそ砂の如くさら〜と流れ去っていってしまい、はっきりとした輪郭の手応え、感触が掴めない。登場する人物達はいつのまにかくっついたり離れたり、誰が生きても死んでも次の瞬間には忘れてしまう(ある意味「映画」的?…ってのは冗談)。敵役のイムホテップもミイラの親玉、強力なボスキャラ以上の存在ではない。確かに画面を跳梁跋扈するミイラ達とのアクションシーンは見ていて飽きてしまったりはしないのだけれど、それは映画というよりも「トゥーム・レイダー」や「バイオ・ハザード」といったテレビゲームの感覚に近い。とにもかくにも走って、打って、ぶち壊すだけのこの映画は、その的となるCGミイラをアトラクションとして楽しむ為の映画なのだろう。

シンプルな(如何にもB級ってカンジの)"The Mummy"という原題は、まさにこのCGミイラの見世物映画に相応しい。(実際同題のB級映画のリメイクらしい。)

ヘブライ語を喋り始めた男に「貴様、奴隷か?」とのたまうミイラには笑った。当て擦りかな。(ユダヤよりエジプトの方が遥かに歴史があるぞ〜って。)

*)たとえば、『インディ・ジョーンズ』のハリソン・フォードが見せる、あの追い詰められた時の情けないニヤケ笑い。極端に言えば、あんなモノを愉しむのが活劇映画だと思うのだけど。

(評価:★2)

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