[コメント] 知りすぎていた男(1956/米)
息子の命がかかっているということもあってヒッチコック特有の遊戯感覚は希薄(『三十九夜』の主人公なんてあの状況を楽しんでいるようにも見えましたよね)。かと云って張り詰めた緊張感で全篇を押し通すわけでもない。それでも剥製屋の取っ組み合いのように最高に馬鹿馬鹿しいシーンがあるからいいんだけど。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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真相に迫っていく後半のイギリス・シーンよりも、不自然なスクリーン・プロセスまでもが何やら不気味な前半のモロッコ・シーンのほうが興味深い。『北北西に進路を取れ』のような瞬間的な「巻き込まれ」もよいけれど、本作のように徐々に、しかしいつの間にか決定的に「巻き込まれ」ているというのも面白い。
クライマックスとなるアルバート・ホール・シーン、ここでのショットの並べ方はヒッチコックの独壇場だ。散々じらすのは常套としても、まさか譜面のアップショットまで挿れてくるとは! 普通はここまでやりませんよ。
ラスト・ワンショットでつけてしまうオチも、洗練された投げやりさとでも云うべきものを感じさせてよい。
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