[コメント] 学校の怪談4(1999/日)
これから炎天下、超大作、人気作のためにかったるい思いして並ぶのか…とうんざりした気分になっているのでしたら、それは空くまで延期して、ビデオ屋でこの映画を借りてくることをお奨めします。
学校を舞台にするのではなく、話の種に留め、夏休みという時間を描いた新鮮さがいい。結果、展開はなかなか本丸に踏み込まず、二の丸で二の足を踏む様相を呈するが、その焦らしが功を奏し、妖怪に頼らない怪談の原点に立ち返った恐怖演出が威を発揮していた。
本作で一番怖かったのは、妹の視点から追った“兄が連れていかれてしまう”という恐怖。子供の頃によく見た、身近な者がフッと消えてしまう、哀しい夢…あの感覚。それを表現していたのは特筆に値する。子役も随分頑張って、微妙な感情を表現していたように思う。いかにも大人が造ったような作り物臭い友情ばなしは一切排され、極めてナチュラルに切ない。大人の観賞に堪えうる(って、この言葉大嫌いなんだけど、推薦のために敢えて)秀作。
ただ、完成度を上げたことで、プログラムピクチャーとしての使命を半ば放棄した感が否めない。やはり子供は妖怪が見たいのであり、あくまで子供が見たいものを提供するのが、こういう映画の役割なのだ。本作がシリーズを止めることになったのは、それを放棄した報いだろう。こういう映画が好きでたまらなかった元少年として、満点は付けられない。
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