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[コメント] 海底軍艦(1963/日)

身の周りから起きる怪事件から始まり、謎を追いかけて「海底軍艦」に行き着くまでの展開は、まさしく冒険小説の定石。蒸気男、隻眼アイパッチ、海洋会社の社長と義理の娘、神宮寺大佐、ジャングル探検…挿し絵が目に浮かぶ。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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湖底から宙に浮かぶ海底軍艦の威容、ムー大陸の舞踏シーンはむろん見開き挿絵で。

同じ娯楽性を追求していても、この物語世界の荒唐無稽、奇想天外さと、本多監督の持ち味のシリアス、ハードなタッチとは合わなかったような気がする。海底軍艦の強力さやムー大陸の人々の設定は無邪気すぎるのだ。冒険ものの高揚感を得るには、屈託なく物語を突き進んでいくことが望ましい。例えば、ムー人たちはすべて成年しかおらず、子供を登場させないが、そういうことで単純な「人類の敵」として表現できるわけだが、監督はそういう単純に割り切れない暗い部分こそ本当は重視したいタイプなのだと思う。だから神宮寺大佐のような葛藤を抱えたキャラが光るのだと思う。

マンダの造型は「軍艦に巻きつく」というビジュアルのために考えられたのだろうが、そのシーンよりも、死骸が海底の岸壁に干物のように貼りついているところがダイナミックでよかった。

「帝国の動力施設は基地から20キロ(だっけ)ほど離れたところにあります」「そのとおりじゃ、諦めて降参するがよい!」「よし!そこを攻撃だ」「!」っていう乗組員と皇帝とのやり取り。皇帝の正直さがちょっと気の毒になる。

(評価:★3)

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