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[コメント] モスラ(1961/日)

かつてこんな風に西欧(ていうかアメリカ)人のエゴ、ひいては資本主義の横暴を暗喩した映画があっただろうか? モスラにかの地を襲撃させた剛胆は、今こそ見習うべきものだ。
kiona

 モスラと小美人と原住民というのは、娯楽としては諸刃の剣だ。なぜならそれらが潜在させている要素は、差別や植民地主義、マイノリティーや先進国に蔑ろにされる途上国という極めて重たい問題に繋がっているからだ。作劇の観点から見たら、モスラというモチーフは常に偽善と背中合わせなのである。この作品は、完全とは言わないまでも、その問題と真っ向から向き合いながら、堂々とした物語を展開している。これがモスラ対ゴジラになるともう、安易な独善に足を突っ込んでしまっている。ちなみに平成シリーズは、端からそんな問題と向き合おうとはせず、代わりに環境問題を持ち出して轟沈してしまっている。この第一作目こそは今の怪獣、いや日本の娯楽映画が失ってしまったものの体現であり、本多猪四郎という人がいかに優れたバランス感覚を持ったディレクターであったかを証明している。

 注:もっともモスゴジも本多なのだが、あれはあれで他に語るべきところがある。それは、そっちのレビューでいずれ…

(評価:★5)

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