鑑賞後、何だか劇中のスペイシーよろしくアメリカン・ビューティーが降り注いだような気がした。もっとブラックでドタバタしたコメディーを想像していた私の度胆を打ち抜いてくれたあまりに高貴で美しい映画すぎて、もう意味が判りません。

ただ、幸せっていうのはこう気付いて頑張ったところでやってくるのではない訳で……。某・歌手が「幸せについて本気出して考えてみたら…」と歌っていましたが、本気出して考えたところでどーにもなりません。幸せはきっと理由を考えだしたところで逃げ出します。途中まで、スペイシーがイイ感じに幸せを掴みかけたのかな?と思わせますが、すぐに道を誤ったと判ります。幸せは何もかもブチ壊したら手に入るものではない…と思います。そして家族がいるならば、自分だけの事を考えて幸せでなりえる訳がありません。そこそこ!だって幸せはそこに落ちているじゃない??…などと思ってしまいました。しかしここまで幸せになろうと空回りするのもまったく不幸で切ないですね…。

最後、死んでしまったスペイシーの顔を見てリッキーが「美」目の当たりにした顔をします。「圧倒的な美」を見たんですね。でも、死んで「美」になっても仕方ないじゃん?必死になっても生きてる方が美しいような気がするけどなあ…と思ってしまったのは私だけでしょうか?だって、死ぬ直前の彼は本当に美しくなりかけてたじゃないですか。むむむ……

この映画は今の私にとっては『２００１年宇宙の旅』より難解です。壮大で高貴すぎて難しいです。それは私が若いからなのでしょうか?いずれ自分も自分なりの「美」を見つけた時、この映画の画面が四方八方から訴えかけてきた「美」が判るのでしょうか……?それは謎ですが、とにかくドスンときたには変わらないので及第点以上。こういう映画がアカデミー賞を獲ると少し嬉しい気がする……。

最後に、前日『クライム・アンド・パニッシュメント』を見たので、何か「盗撮モノ2連発!」って感じでした(笑)。でもこの映画の「盗撮」を「盗撮」と言ってしまうのは非常に失礼な気もするのですが………