悲劇的な事に大人になってからこの映画に出会ってしまった私には多感な時期に出会った皆さんの様な熱い思いは語れない。それでもオユエロス村の１本道のロングショット、荒涼とした野原に佇む納屋と井戸、蜂の巣の様な六角形のガラス、死んだふりをするイザベル、線路に立つ二人、そしてアナの瞳、動きと全てが美しい映像は心に残る。また至る所に死を暗示するような場面と張りつめた空気は下手な恐怖映画よりよっぽど緊張感があった。この映画に５点つけられないのはきっと自分の方に問題があるのであろう。もし自分に子供が生まれたら何度も何度も見せよう。トラウマになるくらいすり込もう。

映画を観ている間、ずっと気になったのは夫婦がほとんど会話をしない事。言葉を交わすきっかけは何度かあったが目線すら合わない（唯一帽子を忘れた夫に妻が名前を呼ぶ）。確かにこの映画にホームドラマ的な空気を排除し緊張感を与えているように思うがそれだけなんでしょうか？分かる方がいれば教えて下さい。