[コメント] キリング・フィールド(1984/英=米)
衝撃を受けた。
たしかに、主役二人の無二の親友としての関係は必ずしも深いところまで描けておらず、それは映画としてはマイナスなのかもしれない。また、アメリカ的(白人的)視点=「我々が介入して救ってあげなければ、カンボジアはこんなに悲惨になってしまう」がそこに見え隠れしないとは言えない。だが、そんなことはどうでもよかった。この映画をつくった英米の意図が何であれ、映画よりもさらに過酷な現実があったことをまざまざと伝えている点に変わりはなく、それに対し、敬意を表したい。
この映画の舞台から20数年、今、現実はどうか。この映画をつくった国と国民は、いまだに正義と悪の単純な二分法でしか物事を考えられないほどに幼稚で危険だ。
が、目立つ大国の言動批判なんて誰だってできる。むしろ、我々はどうなのか。自ら何ら政策もイニシアチブも打ち出さず、幼稚な大国に守ってもらって、都合のいいときに幼稚な大国を批判するだけの国と国民になりさがってはいないか。
価値観を一方的に押し付けて自ら「世界警察」を名乗っても平和の維持はできようもないが、何の策もなく「平和」を声高に叫んでるだけで自然に平和主義になってくれるほど独裁者たちや軍事政権は甘くもない。米軍のベトナムでの行動は前者を、そして、この映画における米軍退去後のクメール・ルージュによる大量虐殺は後者を、嫌というほど我々に示す。
「正しい」結論なんて、多分ない。「イマジン」を聴いて、理想的な世界を思い描くことは美しいかもしれない。だが、それだけでは何も変わらない。自分の頭で考えて、動くほかない。この映画が終わりではないという意味を込めて、あえて満点はつけないことにする。
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