[コメント] マン・オン・ザ・ムーン(1999/米)
もし同時代に生きてアンディ・カウフマンという人を僕が見ていたら、僕はきっと眉をひそめてチャンネルをかえていただろう。でも、彼の芸人としての急進性と、人間としてのチャレンジ精神には敬意を抱く。
観客が、「笑えるか、笑えないか」ではなく、「感情的に関わることができるかどうか」が彼にとっては問題だったのだろう。それが、笑いであれ、嘲笑であれ、怒りであれ、憎しみであれ、人が彼に対して「何かを本気で感じる」ということが、彼の芸の目的だったようだ。
だから、彼は常に急進的かつオリジナルでなくてはならなかった。なぜなら、「お決まり」や「お約束」では、「本気で感じた」ことにはならないからだ。だから、ヒットしたネタを繰り返しやることを拒否したのかもしれない。そして、何が本気で何がネタかの境界線を極度に曖昧にすることで、観客の自分の芸に対する感情を常にリアルに保とうとしたのだろう。
そんな芸風を生涯を通して貫いたりするから、自分の病気までそんな感じだと思われてしまう。もっとも、彼はそれをも望んだのだろうが。
僕は、彼がやったであろう数々のネタに関して、決して笑うことはできなかったであろうし、どちらかと言えば嫌いになってしまったかもしれないが、それでもこうして映画で「人生」として見ると、すごかったんだなあと思わされる。特に、「本当の自分がわからない」という人生は、相当に辛いものであるはず。
制作側も、そうしたアンディを描くために、最大限の敬意を払っている様子が伺える。特に、ジム・キャリーの演技は、そうした敬意なしには出てこないもののように思える。
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