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[コメント] 座頭市物語(1962/日)

市は強い。盲目であることすら武器にする。だが見えないが故に人の心が誰よりも分かってしまう。そして……
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 プライドの張り合いが、無用な殺生しか産まないことを知っている。自分を「たかがメクラのくせに」と蔑むことでしか自分達の優位性を確立出来ない人間達が、その弱さを隠すために面子やプライドだけを高め、その張り合いで優劣を競った挙句、斬ったり張ったりの争いになってしまう。その虚しさに気付くこともなく、勝った側が負けた側を貶め、再びプライドの張り合いを始める。これの繰り返しだ。

 しかし市にはそれを止める手立てが無い。そんな人間達にやっかいになっているという脆い立場であるからこそ、止められないのだ。だからこそ、プライドではなく信念で動いている男・造酒に、市が何かしらの親しみを感じたのだろう。そんな造酒と斬り合わなくてはならないという皮肉な運命の巡り合せ……。

 だからこそ彼は孤独を望む。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ジェリー[*] 水那岐[*]

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