[コメント] 釈迦(1961/日)
○釈迦誕生・・・ちょっとしたアート・アニメーション。丹念。
●釈迦出家・・・本郷功次郎は頭は悪そうだが声が良い。ヤショダラー姫を演じたフィリピン・スタァのチェリト・ソリスのおっぱいが綺麗。宗教映画なのに最初っからお色気満載ってのが素晴らしい。
●ダイバ・ダッタとヤショダラー姫・・・釈迦の父スッドーダナ王役の千田是也(俳優座)の大芝居にメゲる。大事なエピソードではあるがもう少しテンポ良く描いても良かったんじゃ。
○釈迦VS魔羅(マーラ)・・・お色気シーン再び。白い悪魔たちの造型(小人さん含む)が秀逸。
◎ダイバとシュラダ仙人・・・同じ俳優座でも東野英治郎は映画向きだ。インド古代神の石造やレリーフの造型が素晴らしい。恐らく美術監督としてクレジットされているやはり俳優座の伊藤喜作先生の指示によるものだろう。ライティングも絶妙。
●カリティの仏門帰依・・・ハリティーとか鬼子母神とか。RPG好きには有名なエピソード。山田五十鈴はピッタリ。しかしコメディリリーフとして用意されたはずの川崎敬三(ウンパ役)らが巧く機能しておらず出来としては平凡。
●クナラ王子とウシャナ妃・・・市川雷蔵はズラ外しても恰好良いねぇ。山本富士子も綺麗に撮れてる。後半は、悪女タクシラーを演じた月岡夢路が少々役不足に思えたし、アショカ王役の中村鴈治郎がいつになく大仰な演技で欠伸噛み殺し状態。でもタクシャラーに惚れる軍人の「ご命令に従いますっ」ってアクションは笑えたな。山田広野の活弁的面白さだ。
○マータンガの帰依・・・叶順子はインド人にしか見えない。美しいです。可愛いです。そして勿体無いです。そんな俺に仏門は厳しすぎるようだ。
●アジャセ王子の出生の秘密・・・杉村春子も気合入ってんなぁ。善し悪しでいったら確実に善しなんだろうが好みじゃないや大芝居。川口浩の舌ったらずな発声は好きだ。
○仏徒の苦難・・・像の前足が空中で留まってる画は新鮮だった。合成以外のシーンはどうやって撮ったのだろう?
○イダイケ妃の面会・・・ビンビサーラ王(市川寿海)が捉えられた牢の造型が素晴らしい。城壁から階段を下って、掛け橋。内部は搭状になっていて天井は吹き抜け、ただし周りには水が張ってある。グレイトです。
●アジャセ王子の小指の話・・・エピソードとしては面白い。しかし中村玉緒演ずるオータミー妃のキャラクタに何の工夫も見られない。
◎油の話・・・本作品中ベスト。正直、ちょっと泣いた。北林谷栄だから、というのが無論、大きい。恐慌に駈られる多くの人々と彼女の対比が見事。炎や夕陽、オレンジ色の温かさを捉えさせたら牧浦地志の右に出るものなし。
◎石神像崩壊・・・スペクタクル!でっかい石が本当にぶつかってきそうな大迫力。大映特撮万歳!
○ダイバの改心・・・凄いセット組んだね。あの岩壁が動くんだから凄い。
○釈迦入滅・・・釈迦が片肘付いて横たわっているのが判る程度に、でも顔は見えないようにアウトフォーカス。これ以上ないほど精妙なショット。流石プロ。
○伊福部管弦楽は画面にもテーマにピッタリ。ゴリゴリのクラシック畑の作曲家にも何が何でも前衛という音楽監督にもこの味はだせない。大先生様!
○「慈悲」というテーマは素晴らしいね。今だからこそ有効なメッセージ。
●でも全体的には『秦・始皇帝』のが好きです。
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