[コメント] あの子を探して(1999/中国)
プロパガンダとしての宿命的な胡散臭さ。リアリズムで攻めた風に見せて、その実、巧妙に劇的な要素を配置する手腕は狡猾だとも思えるぐらいだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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一種のプロパガンダ映画だということもあって、『初恋のきた道』と打って変わった見事なドキュメンタリー・タッチで見せる。しかし、いかにもリアリズムで攻めた風に見せて、その実、巧妙に劇的な要素を配置する手腕は狡猾だとも思えるぐらいだ。
例えば、容貌も性格付けも凡そ映画のヒロインらしくない少女を主役に配置し現実らしさ」を装うが、ホエクーという少年や学級委員(?)役の女の子(チョークを大事にしない事を訴える日記を書いた少女)のような「映画のツラ構え」を持った人物で補完する。或いは、いかにも現実にいそうなエゴイズムむき出しの人物ばかりを登場させるが、そのディスコミュニケーション(思いこみや思い違い)で巧妙に劇的なシチュエーションを作り出していく。個々のエゴのぶつかり合いがとても面白いのだ。主人公、村長、ホエクー、ホエクーの姉、駅のアナウンス嬢、テレビ局の受付係等々。
しかし、物分かりの良い好人物としてテレビ局の局長が登場したあたりから、この映画の方向性が違ってくる。悪く言えばプロパガンダとしての宿命的な胡散臭さを帯びてくる。
私は意地の悪い観客なので、生徒を一人も欠落させなかった時に支払われる金を受け取ることこそが、主人公の唯一無二の動機として、一貫して描いて欲しかったと思ってしまう。
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