[コメント] ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972/仏)
逃げ出せない無限ループの如く繰り返される悪夢の行き着く先は・・・
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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・・・無残にもマシンガンで蜂の巣にされた血みどろの死骸・・・なんて悪趣味、いや、爽快なんだ!!
「ブルジョア批判はヨーロッパでは伝統なのだ」と、どこかで聞いたことがあるのだけれど、ここまで悪意を内に秘めたモノは初めて観た。食事しようとすると必ず邪魔が入る展開に、初めのうちは「いい気味だよ!」と楽しんでいたのが仕舞いには「なんかちょっと可哀想だな・・・」と若干哀れみも入り混じった苦笑いに変わって行った。しかし実は、そんな観る側の変化もひっくるめて、かつて知的階級であったブルジョワジーのひたすら欲望(ここでは美食)を追い求める姿を笑い飛ばしつつ痛烈に批判していると考えると、このブニュエル監督も相当に人が悪い。しかも、そのスタイルは上品かつスピーディー。なんら無駄なものがないのだから凄い。
夢の合い間と最後にブルジョア連中が田園風景の一本道を歩いていくシーンが挿入されているが、行く先は霞んでよく見えない。「一応ここで映画は終わるけど本当はこいつ等の悪夢の地獄巡りは永遠に続くんだよ」と監督に笑顔で囁かれてるような気がして、久々に映画で恐怖を感じた瞬間でもあった。
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