[コメント] やかまし村の春・夏・秋・冬(1987/スウェーデン)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
親の手伝いを喜んでしていた頃のあの誇らしげな気持ち。
思わぬ自然の驚異にさらされた時のあのどうしようもない心細さ。
女の子だけの秘密の時間を男子にのぞかれてしまったと知ったときのあの恥ずかしさ。
突然の事故に何もできずただただ見守るしかなかったときのあの不安。
ぐらぐらの歯を抜くときのあの不思議な気分。
眠りたくなどなかった特別な日のあの緊張と高揚。
どうしても理解できなかった大人たちばかりが好きなあの食べ物。
やすやすと信じていた大人たちから聞くあの説話。
うらやましくて仕方なかった友人のあのコレクション。
手に入る全てのものが素晴らしいおもちゃになったあの日。
自分たちの仕掛けた小さないたずらに笑い転げたあの時。
なぜだか怖い人にしか見えなかったひとり暮らしのあの人。
人よりも動物の生死にこそ過敏に反応していたあの頃。
何よりも大切だった一生懸命に育てたあの小さな命。
‥‥‥‥‥
これらの感情は確かに知ってる。
でも、普段の生活においてはもうすっかり忘れている。
正確には、もはや過去形でしかきっかりとは実感できない。
だから、胸が痛む。
思わずこぼれる笑みとともに、その切なさに息がつまる。
彼らは現在進行形でその気持ちを受けとめているのに、もはや大人になってしまった私にはそれができない。
もちろんそれでいい。それは当然のことだ。
けれど、そのあまりのまぶしさに胸をつかれ、泣きたいような気分にもなる。
もう決してかえってこないあの日々に、その郷愁と憧憬に、やんわりとやんわりと胸をしめつけられる。
‥‥‥‥‥
maoPさんが前作に寄せた大好きなコメント「郷愁と、憧憬と。」から、その語句をそのまま引用させていただきました。事後承諾ですみません。
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