[コメント] さらば、わが愛 覇王別姫(1993/香港)
結局は日本軍が最も紳士的だったらしい?中国でも台湾でも日本でもなく、香港が制作したというのがアジアの歴史を物語っている。ちなみに天安門は出てこない。
これは単に友情と悲恋の物語ではない。もちろん、性同一性症候群を扱った問題作でもない。
日本軍、国民党軍、共産党軍、4人組、そして現体制。中国の民は歴史の暴風にさらされてきた。しかし、伝統の芸は体制がどうであれ続いていく。元来、中国の民は華僑に代表されるように、ユダヤ人と並んで世界で最も現実的な思考をする民族である。どんな暴風が吹き荒れようとも伝統と商いだけは絶やさなかった。
あらゆる体制下にあっても順応していく民は、明日の中国が見えていない。文革の嵐が吹き荒れた後、自由の予感を感じた途端に天安門で冷水を浴びせられたように。今後もどうなっていくのか見当がつかないだろう。オリンピック誘致に成功し再び天安門の前夜のような空気が流れだした今日だが、オリンピックが終わっても政府は笑顔の内政を続けてくれるのか?
世界でも有数の「歴史」という財産を持っている中国。この国では500年経たないと歴史としては認識されないという贅沢な話を聞いた事がある。それは大袈裟としても「天安門事件」は未だ「歴史」にはなっていないらしい。だから、この映画では描けなかったのだろう。
いや、しかし勇気ある映画でもある。国民党軍も共産党軍も4人組も日本軍よりも礼儀が悪いだなんて事を揶揄するとは全くもって勇気がある。どうかこの映画のスタッフ・キャストたちが今後も無事に活躍出来るような将来になってほしい。
あっ、だから香港の制作なのか!
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (7 人) | [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。