[コメント] ファイナル・デスティネーション(2000/米)
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実はこれを映画館での予告で観た時、全く期待してなかった。予告編だけでストーリーの大部分が分かってしまい、わざわざ劇場で観る作品では無かろうと思った。それでたまたま先日テレビでやっていたのでそれをビデオに撮って観ることにした。
裏切られた。かなり質が良かった。
映像的に見てもこれは見事な作り。オープニングのビデオドラッグ風の映像は、実は事件そのものの大きな伏線になっている(気にかかる所があったので、ビデオを巻き戻してみたら、何と!)。更に主人公アレックスの神経質さがちょっと苛々させるところもなかなかのミソ。それに、助かった友人達がアレックスを避ける辺り、演出も細かい(人の心理を考えたら、こっちの方が自然だ)
前半部で次々と死に至る過程は「よくホラー映画を理解していらっしゃる」という程の出色の出来。ホラー映画で怖さを強調するのはなんと言っても予兆と不安を隠せない被害者の表情!それを静かな演出で見せる事こそ、恐怖をあおるものはない。それが見事にはまっている。被害者の殺害のシーンも効果音を極力廃し、ただ被害者が立てる静かな物音だけで演出していく。それが「来るぞ来るぞ来るぞ」という期待と、不安をいやが上に演出してくれている。予兆があって、実際に死に至るまでの時間も、長すぎず短すぎずで見事なタイミングだった。(この時間というのが結構重要で、私のような恐がりの人間はついここで来るぞ、と思うと顔を背けようとするのだが、丁度その緊張感と不安で、又画面に顔を向ける、丁度その時にドンっと来る。そこまで考えられた演出だとしたら、本当に見事だ)
更にいくつもの小技が冴える。先ずこの作品、通常のホラーと違い、殺人者が出てこない。ここで彼らが相手にしているのは“何者”ではなく、冷酷な“死の法則”なのだから(ちょっと陰が出たりもするけど)。これは運命であり、逃れることの出来ない死神が徐々に近づいてくると言う雰囲気がユニークで面白かった。
そして殺人者が不在の替わり、モルグでのあの強烈な死体解剖人の存在が光る。『キャンディマン』での殺人鬼役トニー=トッドをこんな所で出してくれたのも心憎い演出。そこで交わされるストーリーそのものに関わる会話の雰囲気は見事。やっぱあれが画面を引き締めてたんだな。(あそこで「又会おう」と言った台詞が後半活きると思ったんだけどな)
ただ、前半がこれだけ良かったのに、中盤以降完全に失速してしまったのは残念でならない。全然怖くなくなってしまい、単なるパニック映画になってしまった。アレックスがますます神経質になっていく描写(錆びた針を見て「破傷風にする気だな」なんて面白い台詞を吐いてる)は良いんだけど、立ち直りが早すぎるし、最後はアクションで回避ってのもねえ。大体、殺人事件の容疑者で、絶対アリバイ不可能の立場のアレックスがあんなに簡単に国外に出られるか!
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