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[コメント] アヴァロン(2001/日=ポーランド)

仮想現実と銀幕との蜜月は続く。仮想現実に吹く生暖かい風に奇妙なカタルシスを、セピア・カラーのワルシャワの路面電車と裸電球に不思議な事後の安堵感、を覚えた。ライトでちょっと宗教的で猥雑で、確信犯的なモノトーンの美が横溢する。あのユニークな映像と反復のリズムに、しばし、ほろ酔い。
いくけん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一転、カラーの擬似現実社会?に変貌する演出に度肝を抜かれた。色彩が、ひどく眼に染み渡る。町々の騒音が豊穣(ほうじょう)に聞こえてきて、嬉しくなってくる初めての感覚。そして、あの少女を倒しても脱出不可能だろう。人生とは、知覚体の滅せぬ限り、終わりのないゲーム。無限のループ。感じる快楽、味わう苦痛においては、現実、仮想現実は無差別で等価なのだ。そんな、ある意味、危険な思想をも細胞レヴェルで覚醒させる秀逸な一本!そして、ラストの白い少女がフェリーニの『世にも怪奇な物語』の少女を彷彿させる。何たる映画的興奮!何たる跳躍!低予算を逞(たくま)しく逆手に取って、斬新な作品を創作した押井守、あなたの名は刻印された!

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)荒馬大介[*] 甘崎庵[*] ina[*] kiona[*]

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