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[コメント] アヴァロン(2001/日=ポーランド)

自分にとっては居心地のいい映画だった。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







  From Rial, Welcom to AVALON.

    From AVALON, Welcom to Class Rial.

        From Class Rial, Welcom to・・・AVALON? Not Rial?

 マトリックスを地獄めぐりしたアッシュは、クラスリアルからアヴァロンに回帰したとこの映画は括っていたが、上に書き連ねた三角から考えても、当然現実へと回帰するべきだったはずだ。ところが・・・

 マーフィー「ここがお前のフィールドだ!」

 アヴァロンは現実とイコールであるということか?それとも、作家自身が『ビューティフル・ドリーマー』から永遠と抜け出せない“胡蝶の夢”の一環か? いずれにせよ、我々の現実認識に対する問いかけが感じられる。

 ひとつ大きく変わったのは、“現実へ帰還せよ”というメッセージではなかったことだ。といってもそれは、仮想現実の肯定といった次元ではなかったように思う。そういった物理的なシステムではなく、我々の現実認識そのものの再認識であったように思う。つまり、我々が現実と認識している世界の多くが、いかに多くの思想をはじめとする虚構でなりたっているか、そのことの暗喩として仮想現実アヴァロンがあったような気もするのだ。だとすれば、やはりアヴァロン=現実。ただし、その現実は、アッシュ=見るものの認識が変わったということで、確かに新たなステージなのである。

 我々は共通幻想に囚われず、もう少し自由に“現実を選べるのではないか?”、そんな心地よい浮遊感のあるメッセージだった・・・気がする。

 それにしても映画としては、明らかに川井憲次に救われている。『菊次郎の夏』と一緒だ。

(評価:★4)

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