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[コメント] リトル・ダンサー(2000/英)

こんなにも少年が汗水流して踊っているのにリアルじゃないのはなぜだ!
つゆしらず

ビリーがバレエに出会い、バレエに惹かれる瞬間の描写が弱い。彼がバレエに何を求め、バレエに何を描き、バレエの何が彼を突き動かしているのかが伝わらない。

「バレエなんて女々しくて嫌なんだけど、どうしてもどうしても惹かれてしまう」といった葛藤もなく、あまりにもさっさととそのハードルをクリアしてしまったために、「かわいい少年がひたすら踊るシーンが一秒でも多く撮れればよかったんかな」と感じてしまう。

ひたむきにバレエを練習するビリーを見ても、「がむしゃらに熱中してる少年って微笑ましいでしょ笑っちゃうでしょ」といった表面的な、そしてすごくミーハーな見せ方にしか感じられない。

そんなわけで、どんな感動シーンがあっても、表面的というかなんというか…見てる人をバカにしてる気がしてならない。だいたい、「子供と親が反発して、やがて親が子供を必死で応援する」なんて、あまりにもな「お決まり」。「お決まり」を真っ向から否定するつもりはないが、この映画の物語のピークが「お決まり」で終わってしまい、それ以上の展開がないことに作り手の安易さと作品の底の浅さを感じた。

「少年たちが成し遂げようと努力する」系の映画なら、最後の最後で大輪が一斉に咲くように、最後まで実演を溜めておくものだけど、これは全編に渡って踊り過ぎちゃってるし、少年の踊りが抜群に感動、というとそうでもないし…。(アダム・クーパー出しちゃうのは英国人の自負心だな。)

表面的には起承転結・泣き所を入れ込んでいるんだけど、そう、リアルじゃないんだよなあ。「ゲイの友だちにチュチュ着せて踊って、親にみつかる」なんてくだりは、恥ずかしいくらいリアルだったのでなんとも残念。

個人的には、少年が踊ってるってだけの映画が、こんなにも評価が高いのがショックでした。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)24[*] けにろん[*]

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