[コメント] ショコラ(2000/米)
人間賛歌。
古典的な展開で繰り広げられる古典的なストーリー。ひとつひとつのシーンがとても丁寧に描かれており安心して見られる。よく練られた構成は無駄が少ない。町の中だけのストーリーだが、個性的なキャラクターが充分にドラマを描いている。
娘の存在の必要性は何だろうとふと思い考えた。例えばヴィアンヌ一人だったら不思議なチョコレートによって人を幸せにし、いつもニコニコ。あまりに人間離れしすぎている。旅の暮らしもまるで神の命題の様に受け入れ喜んで町から町へと旅立っていくだろう。娘の存在がヴィアンヌを迷わせ、悩ませ、悲しませ、喜ばせ、人間的に彩ることで虚実のバランスをとっているのだと思った。
終盤の祭りのシーンでは思わず「映画っていいなァ」とつぶやいてしまった。ラストシーンはレノ一世の銅像で終わる。厳しい北風に吹かれ旅から旅への生活を送ってきた母子にはじめて吹いたやさしいそよ風。そして戒律に縛られた人々に訪れた自由なそよ風。これを思わず微笑んでしまう様な軽いタッチで見事に描いている。僕はこのラストシーンが大好きだ。
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