[コメント] 女囚701号 さそり(1972/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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「血、血、裸、血、裸」みたいなハイペースで、存分にエログロを見せつけてくれる作品。まぁモノが「女囚物」だけに、やはり作品の訴求ポイントはかなり下世話なところに置かれているように思います。少なくとも僕は、多少なりともそれを期待して観たわけです。
ところが不思議なことに、作品それ自体はあまり下世話に染まっていないんですよね。これはやはり梶芽衣子のストイックな演技に依るところが大きいんではないかと。つまり、下世話の海に浸かりながらも、それに染まらず「復讐者」という一本筋の通った存在で居続けてくれる彼女によって、映画自体が救われてるように思えるんです。そして同時にそれは、下世話な物を観たがる我々にとっての免罪符にもなっているんです。「僕らはマツの真摯な姿を観てるんですよ。エログロは二の次なのですよ」っていうね。
実際他の女囚たちは、やれリンチだ何だですぐに素っ裸にされてしまいますが、梶芽衣子だけは「剥いちまいな!」とか言われても服をビリっと破かれるだけ。その存在はどこまでもストイックです。そしてそんな彼女が唯一胸をはだけるのが夏八木勲との処女喪失シーン(とそこから繋がる襲撃シーン)だということが、そのストイックさを更に高潔なものにしているんだと思います。愛がない限りは脱がないんですよね。
そんな免罪符の効果がよほど強かったのか、ドロドロした演出なのに後味は思いのほかスッキリしており、思う存分心から楽しませていただくことができました。
あ、あと普段は「おらおらー」「うへへへ」的な女囚エキストラさんたちが、何故だかシャワーシーンだけ「キャアキャア」と女学生のように嬌声を上げる演出になっているのが可笑しかった。あそこだけ一瞬「ちょっとエッチな学園もの」みたいになっちゃうの。まぁそれも三原葉子の隈取りメイクで吹き飛ばされるんですけどね。
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